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Stonedz Project/STONEDZ

Stonedz Project/STONEDZ

 

Stonedz Project と書いてあるCDの字面を見て、まず、最初に調べるのは、"STONED" の意味だと思います。

STONED?私は英語が苦手なので、石でも投げる事かな?と思っていました。
調べたら、無論、全然違いました。(英語って難しいですね。)

もしも、私のように英語が苦手でタイトルで躓いても、音源を聞けば問題ありません。向精神薬的かつ、アンダーグラウンドな世界に私たちをグッドトリップさせてくれる危ないブツだと言う事に気付かされるでしょう。

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まず、ジャケットに二人の男の絵がありますが、彼らが STONEDZを名乗っています。
物凄い煙たそうな方がDOGMAさんで、キャップを被っている方がMEGA-Gさんです。
絵だからだいぶデフォルメされていますが、実物は、とても厳つさがあります。


"HIGH BRAND" MEGA-G feat.DOGMA
見た目から漂うアンダーグラウンド感が私はとても好きです。
まるで、映画から抜き出してきたような人物像に、怪しい物語を期待せざるを得ません。かっこいいですね。
STONEDZの良いところは、二者ともに異質でありながらも、お互いに邪魔する事が無く、怪しさと危なさに彩られた世界観を織り成していることです。

DOGMAさんの語りかけるようなフロウと暴力的でありながらどこか文学的なリリックはどこかリアリティと映画的な世界を行き来するようなそんな黒い情景を私達の耳に焼き付けます。
一方で、MEGA-Gさんの硬い韻と流れるようなフロウはテクニカルにリアリティを曲に反映させます。まさしく、料理人のように卓越したスキルや、リリックの言葉遊びのセンスで、聞く人を魅力します。

お互いに違った個性を持ちつつも、全体を通してみると、非常に良いバランスを保っています。

このアルバムを聞いてる私自身はアンダーグラウンドでも何でもありません。
例えば、私が、「アムステルダムのあのコーヒーショップで手に入るブツは上物だ。」なんて言ったらフェイクも良いところです。
しかし、私にとってアンダーグラウンドな世界を垣間見るという事は、刺激的で楽しい事です。
通常感じ得ない異国の空気を吸える気がするからです。
行ったこと無い場所に旅行するのって誰でもワクワクしますよね。

そんな、HIGH-BRANDなアルバムについて全曲感想を書きました。良かったら読んでください。

 

Sky Mission

ハイに成りたい人の為のアルバムの入りがこの曲です。
MEGA-Gさんの最初の1バース目で、ストーナーの為のリアルなハイブランド曲であると宣告され、「私はこれ聞いて大丈夫なのかしら?」と思いつつも、流れるようなフロウと共に、気付くとハイな気分になってしまいます。そんな不安はアムステルダムの空に消えて行くので大丈夫です。
続いてDOGMAさんの攻撃的なパンチラインが始まります。語りかけるようなフロウに耳を傾けてしまいますね。
まるで、二種類のジョイントから立つ煙が相乗効果のように重なるような掛け合いにはそのあとに続く曲への更なる期待が持てますね。

 

Street Rymingman

タイトルそのまま二人のストリートなアンダーグラウンドなライフスタイルから繰り出されるリリックは飛んでいると言うより地に足ついた生きざまが反映されています。DOGMAさんのワルさと怪しい笑顔を想像してしまうようなリリックです。その言葉を背負っても、違和感無い人物像なので、説得力があります。そして、MEGA-Gさんのシーンに対抗しつつも、ひたむきに自分のスキルを信じて磨く姿が反映されたリリックにも美しさを感じます。
「嘘くせぇ奴が不特定多数 やたら太くて厳つい スモッグでガツン」というリリックには新宿拡声器集団MSC血と骨を感じる事が出来ますね。
東京アンダーグラウンドのリアルの一端が見えるこの曲にはガツンとやられてしまいます。

Hatefull8

取り扱い注意。一つ間違えると、相手の懐を抉って嫌悪感をふつふつと煮えたぎらせてしまいます。
それほどの8人分のヘイトが詰まっています。ビートに乗る言葉が鋭く尖った凶器のようですね。
(私はこの曲を「かっこいいよ」って人に紹介したら、相手を怒らせた事があるので、何か間違えたんだと思います。皆さんも友達に教えるときは気をつけて下さいね。)
客演にBES, DUTCH MONTANA, T2K, MONY, PETZ, JNKMNと非常にアンダーグラウンドなメンツが軒を連ねています。
彼らのヤバさはどのくらいか?
参考にYOU TUBEを張り付けて置くのでよかったら見てください。個人的にかっこ良かったのを選んできました!

 

まず、BESさん。失意や無気力を感じてしまったら、聞きたい音源です。英語的な耳障りの良いフロウと音楽センスはとてもかっこいいですね。


BES / Mic Life feat. STICKY, KING104

 

次にT2Kさん。D.Oさん率いる練マザファッカーの一員。もう、この経歴だけで、とてもワルだと思います。そこから繰り出されるストリートのヒリヒリするようなエピソードが感じられます。


T2K a.k.a. Mr.Tee - Falling Down (Prod. I-DeA)

 

次にDUTCH MONTANAさん、ビートの上に乗せる日本語は伝わりやすくメッセージを直感的に感じやすいと思います。DOGMAさんEP「gRASS HOUSE」に収録されている「MY CHAIN 」の乗せ方も好きです。ちなみに、動画では一番最初にラップしています。


Daijoubu - Dutch Montana, DOGMA, Junkman (Prod. WATAPACHI & Chaki Zulu)

 

最後にMONYさん、PETZさん、JNKMNさん。三人で"MONYPETZJNKMN"名義で音源が出ているので、そこから選んできました。("磊"で調べると出てきます。)「UP IN SMOKE」名前からしてモクモクしています。三者三様のラップで、イリーガルな植物への思いがラップされています。ビートアプローチが三人共、かっこよく、煙たい雰囲気がありますね。聞いてて、楽しくなります。Chaki Zuluさんのビートもスタイリッシュで良いですね。


UP IN SMOKE - MONYPETZJNKMN (Prod. Chaki Zulu)

 

これだけのワルが軒を連ねているんです。ヤバいですよね。
マイクリレーの〆はDOGMAさんです。そこのリリックで「証言8」と言っていますので、この音源全体で「悪の証言」だと思って聞くと、良いんじゃないかなと思いました。豪華ですね。

 

Coffee Break #1

DOGMAさんとMEGA-Gさんが本当に楽しそうにお話ししています。本当に楽しい内容なので、迂闊に書けないですね。

 

Flight Recorder

名前通りの"フライトレコーダー"です。旅の記録が詰まっています。でも、ただの旅行記じゃなくて、STONEDZの旅行記ですから…
この"Flight"は、移動手段の飛行と、トリップの事を言っています。煙に巻かれた旅行の記憶はまるで走馬灯のように聞いた人の頭の中で再生されます。
この曲は、STONEDZで無ければ、書けないなという語彙で溢れています。
STONEDZという劇物を、外国産の葉巻紙で巻いたブラントは3分弱の間に、独特な後味を残して、燃え尽きていきます…。

 

Lyrical Dope Hustlerz

はじまりの1バース目からは、ハスラーの話なのかな?と思います。しかし、バースを重ねる毎にそうでは無かった事に気づかされます。
"Lyrical Dope Hustlerz"なので、実は音源の事を言っていたんだ…
と気付いた時は、STONEDZがストイックなラッパーである事を思い知らされます。
MEGA-Gさんのバースはとにかく固い韻で構成されています。隙の無い言葉選びとスキルフルなラップはとてもかっこいいです。

「気付かねぇと死ぬだけ 何よりもスキルが正義 それにいつも言ってんだろ 量よりも質だぜ」

というリリックにはストイックに言葉のかっこよさを追求する姿勢が見えますね。
DOGMAさんのリリックには「君は何が欲しい」という言葉が2回出てきます。一回目は売人の話で、二回目はラップの話でその問いを投げ掛けます。売人の話は金さえ貰えれば何でも売る売人の事をリリックにしたためていますが、これは比喩表現で直接的には売人の話をしているのではありません。3バース目になると「安いヤクを高く売って買ってキマる馬鹿が多い」という超攻撃的なラインが出てきます。とても過激で暴力的ではありますね。これは、本物のヤクの事じゃなく、音源の話をしています。だから、沢山ある音源の中から何を選んでどれを聞くかというのはリスナーの自由ですが、適当に作ったようなリリックより、聞くなら"一級品を"ということをSTONEDZは言っているのだと思って聞いています。


STONEDZ (MEGA-G & DOGMA) - LYRICAL DOPE HUSTLERZ

 

Top Shelf Life

頭から物騒な音源です。アンダーグラウンド感が滲み出ています。
ビートも不穏な感じがしますね。
ここまで来ると、タイトルがかなりダブルミーニングになってるものが多い事に気付く人も多いと思います。もちろん、この曲もそうです。"Top Shelf"は最高級の処方箋の事です。また、通常の英語では一流という意味があるので、"一流の生き方"と考える事もできます。
この曲はfeat.The Leftyとありますが、後半部分でラップをしています。Think Tankで調べると、かっこいい音源が出てくると思います。そこに所属していた二人(KILLER-BONGさん,JUBEさん)を客演に招いています。ストーナーラップの先駆者です。この曲ではアンダーグラウンドのラップの世界の厳しさ、生き残る為には一流で居続ける事が大切だと分かります。STONEDZの良いところは、内容はエグいけど、かっこいい生き方を提示しているところです。

 

Coffee Break#2

DOGMAさんとMEGA-Gさんが楽しいお話をしています。その2。

 

O.G Music

今まで攻撃的な言葉が並んでいる事が多かったですが、これは、ゆったりとした時間の流れを感じるような曲です。ただ煙の量は今までと変わりません。夕暮れが似合いそうなビートにMEGA-Gさんのフロウが映えています。
O.Gってなんだろう?って思った人はこちらもどうぞ。DOGMAさんが分かりやすく説明してくれます。専門家みたいですね。


Dogma : やっぱりOG ロング ver.

 

Wax Poetics

"Wax"はレコードという意味と、やはり植物系の意味もあります。ちなみに"Wax"は植物そのものではなく加工されています。熱すると熔けて気化します。
個人的には、ジョイントのように煙草を吸うように燃え尽きる様子と熔けて煙に変わる様子だとだいぶ雰囲気に差があると思っています。熔ける方は病的な美しさがあるので、モノが違うと考えるだけで、音源を再生してリリックを思い起こした時に違いがでます。この曲はSTONEDZの生き方ですらもWaxに熔けて、怪しい煙を燻らせるようです。

 

Night Shift

「日が沈み 渇き増す 街中に 欲がわき立つ ネオンライト浴びて踊る影 日が昇るまで灯すこの宴」
夜の欲望渦巻く街を背景に紡がれる煙たい男達の物語は、まるで映画の一場面のようです。生粋のSTONERのフィルター越しに吸う夜の空気は脆く儚げな一夜の夢のように煙に巻かれて行きます。

 

雨のアムステルダム

STONEDZのアムステルダムシリーズの三作目です。アムステルダムは地名です。STONEDZにとってアムステルダムがどんな場所なのかががリリックに込められています。このアルバムを再生した時のバックグラウンドの大半に、このアムステルダムのエッセンスを感じます。これで、三作目という事は、他に二作、同様にアムステルダムについて書かれた曲があるということです。それについて触れると、一作目は「HIGH-BRAND」で、合法的にトベる街 アムステルダムを楽しみながらレペゼンしてくれる曲です。二作目は「I AMSTERDAM」で、アムステルダムの外から、その情景を思い出を語るようにシリアスにラップしています。今回の「雨のアムステルダム」はタイトル通りの情景をラップにしています。MEGA-Gさんは、
焦らないでマイペースにアムステルダムを楽しんでいる感じがします。雨が降ってるからなのか、全体的に気だるい感じがしますね。一方で、DOGMAさんは、アムステルダムに雨が降っていても気にせず、朝からハイペースに街を巡ります。緑の煙とこの街を愛して止まない感じに楽しさを感じることが出来ますね。二人とも違う楽しみかたをしていますが、目的は一緒です。同じものを求めていても、歩き方も見方も違うので、アムステルダムを一度で二回巡れるようなそんな旅行が楽しめる曲ですね。

 

Stonedz Slow

アウトロです。Stonedz Projectを回想する為の余韻に丁度良いと思います。Stonedz Projectという極上の危険な旅行に思いを馳せながら、終わりを惜しむ頃には、その危険な旅に魅了され、もう一度、高く飛びたいと思うはずです。

 

 

最初に書きましたが、私は、STONEDの意味も知らないで、このアルバムを買って聞きはじめたような人間です。何も知らなくても、聞いているうちに、この銘柄はどんなのだろうと調べたくなるので、知らぬ間に語彙力が増えていきます。勉強になりますね。
私も、煙たい語彙力が増えてしまったので、覚えた単語を惜しみ無く使って、感想を書いてみました。
曲の中に出てくるかっこいい固有名詞はドープですよね。グレイエリアとかアムネシアとか…。もしも、皆さんが興味を持って調べた場合、調べすぎると、インスタのホームが植物園のようになってしまうので、その辺は自己責任でお願いします。
このアルバムは、耳から吸収するタイプの処方箋です。用法・用量は守りつつ楽しみましょう。STONEDZの次のアルバムにもどんな煙が収録されるのか楽しみですね。
色々参考にして今回は書きました。
読んでくれたら有難うございます。

 

STONEDZ PROJECT

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