日本語ラップ.xyz

日本語ラップの感想を書いています。

般若/話半分

ヒップホップって口に出さない方が誰にも突っ込まれないで日常を過ごせる見た目の私が、"般若"というラッパーの音楽を聞くなら、「話半分」に聞くくらいがちょうどいいと思う。だって、真に受けられる程の人間じゃないからだ。ヒップホップに人生が狂わされるくらいに全てを賭けてる人に比べたら、私の骨の髄は絶対に何かが欠けてる。もしかしたら、骨粗鬆症なのかもしれない。だとしたら、このアルバムを真っ向から聞いたら、私は粉砕骨折してしまう。それくらい、般若の生きざま
は破壊力がある。(ヘッズからしたら、言わずもがなだろう。)誰しも、足跡を残して今まで、歩いて来たと思うのだけど、般若の足跡と私の足跡はどこまで行ったって交わらない。私には何かが半分欠けてるからだ。人の生きざまで心が折れて、痛い思いをするのに慣れてしまって、自分の人生のカルテを読んではため息しか出てこなかったりする。別に、このまま何か欠けたままだって、今までの日常はずっと続いていく。それなのに、半分が気になってしまう。それは、何かの拍子に受けた健康診断の所見ありの診断を受けたときの気持ちに似ているかもしれない。自分の健康にずっと疑いを持ってないといけない。どんな平凡な日常だって、そんな気持ちでいたら毎日気が気でないだろう。だから、私には半分何が足りないのか「話半分」から引き算をして、これから、考えなきゃいけないのだ。


さあ 行こうぜ みんなOK
連れてってやる イカれたショウへ
見えねえ 出口のその向こうへ
抜け出してえなら 揺れろ上下

般若「内部告発」より「理由」


「話半分」の話をしようってのに、「内部告発」から曲を引っ張ってくる私は、半分空気が読めていない。「話半分」の話をすると思わせておいて、読んでくれた人を異次元に飛ばすような事をしている。それでも、100年前から動いてる時計と新品の時計が一緒の時を刻むみたいに、「話半分」の中では、同じ人間の違う話が一直線上で生きているとしたら、かつての「理由」だって、その中に息づいていると言っても過言では無いと思う。まるで、憂鬱が覆い被さるような真夜中の雨は静かな狂気を巻き上げるように徐々にその片鱗を剥き出しにしていくこの曲は、"般若"の人間的な一面を知ることが出来る。真剣さも、ふざけも、どこか突き抜けたリリックは、時として、人格が破綻してしまったようにも感じる。現実を睨み付けて、襟ぐりを掴んで殴りかかるような凶暴な衝動は、何かに染まる事の無い一匹狼が牙を剥くようで、そんなラッパーの破壊力は、先人切って、人生のはみ出し者達を何処かに連れていこうとする。突き抜けるものがあるから、その姿勢に何かを感じるのかもしれない。


夢の痕 満天の星
見させてくれ 一瞬でイイ
パッと咲き サクッと消え
誰でも見れる クソでも見れる


般若「ドクタートーキョー」より「夢の痕」

次こそ「話半分」に連れてってくれると思ったら、「夢の痕」に連れてく。私の信用は半分怪しいかもしれない。そんな、気まぐれに付き合ってここまで、読んでくれた人がいたら、私と友達になれそうだ。やったね。
般若のリリックはブレーキがついていない。何があっても止まらないで、進み続ける。
積み上げたものを壊しても、また、一から作り上げる。そこに妥協は無く、一つ一つの夢の痕が、次の夢を作っていく。グランドスラムに到達しても、それすら夢の痕にして、また次を目指す。
そんなストイックさにやられて、私は、日比谷野音のワンマンの後、余韻に浸りすぎて、終電一歩手前まで日比谷公園に居座っていた。そう、何も出来ない奴が何か出来るって思ってしまったんだ。ナントカ症候群だ。
何でそんな事になってるかって言ったら、私が半分足りてないから、そうなっている。きっと「話半分」を聞いたら分かるって、言い聞かせてる。私の夢の痕だって、きっと何かになるんだって思って半分を探してみる。


【トラックリスト】
01.ここにいる
02.生きる
03.1歩
04.素敵なTomorrow
05.百発百中
06.虎の話(あわよくば 隙あらば 俺だけが)
07.何者でもない
08.汚ねえ居酒屋
09.MY WAY
10.家訓
11.君が居ない
12.3時56分
13.乱世
14.ぶどうかんのうた