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般若「話半分」/12. 3時56分

般若「話半分」/12. 3時56分



3:56 今ベッドの上 外は暗え
こんな曲作るつもりは本当に無かったんだけどスゲー
目紛しく変わってくモノにダッサい話ちょっとついてけねー
せめてもの救いと言やぁ 数分後に日が昇るって事位
たった少しのズレみてえなモンが あいつとアイツを丸ごと飲み込んだ
白線の内側と外側の境目 何かに似てる 本音と建前そして社会性



般若「話半分」より「3時56分」




今日と明日を隔てる光と闇がこの時間にあるのかもしれない。
町を照らす人工的な明かりとは違って、蝋燭が放つ光は儚く小さな火のようで心許ない。
孤独な人間の火はなにかを照らすには小さすぎる。
その闇の先にある明日を見るのではなく、いつの間にか、その小ささしか目につかなくて、前に進むより先に絶望を知る。
道筋の先に大きな隔たりがあるようで白線の外側から戻れなくなって、真っ逆さまに人生を進む。
底を歩くも風前の灯火は揺れる。
闇に飲み込まれるか、虚無を跨ぐかしか暗示出来ない未来に、固く綴じた思い出に火を着けるが、尚、時計の針すらも視認できない。
時計の針は"3時56分"を差す。
これから明日が始まるというのに、なんだか、後味の悪さを引きずるような釈然としない夜明けを迎える。
夜は皆平等に明けたはずなのに、昨日に何かを置いてきたみたいに、夢の続きが悪さをする。
地平線の向こう側から押し寄せる波が消波ブロックにぶつかった夜光虫の儚く青い輝きは、夜明け前を彩る。
底から立ち上がれず、飲み込まれていった灯火が一瞬光るようだったが、それは、帰って来ずに、また、波間に消え行くようだ。
答えの無い問答が延々と、海岸線を隔てて、明るくなる前の底無しの暗さを称えながら、瞬きのような光を波間に繰り返すような響きが曲の中にある。
そんな人の別れと孤独という現実の闇を直視したリリックを出来るのは、般若の強さがあってこそだと思う。闇に飲み込まれずに火を絶やさずにいれば、孤独は孤高となって、やがて、大きな火が人を照らせるような存在になるのかもしれない。
そこにあるのは、日が差す前に、消え入った誰かのやるせない気持ちと共に時を刻んだ時計であって、それを受け止める限り、般若の時計は狂うことなく正格に時間を示して、まっすぐに時を刻み夜を明かす。
明くる日の中には、生と生がぶつかる"乱世"があって、その中でも般若は強く生きている。